大卒の女性の就職率を見ると何がわかる?

少子高齢化が進み、労働人口が減少しつつある日本において、女性も男性と同様に活躍できる社会が打開策として期待されています。それでは、実際に女性が働ける環境は整ってきているのでしょうか。その参考になるのが、厚生労働省が定期的に発表している「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」です。

調査内容に書かれているデータを見てみると、平成20年3月卒から令和3年3月卒の就職率は、卒業直後の4月1日時点がほぼ90%台で推移しています。年によっては90%を切ることもありますが、それはリーマンショックの影響と考えられるでしょう。リーマンショック後の数年間は、男性も含めた全体の就職率が落ち込んでいます。

大卒の女性の就職率を大卒の男性と比べてみると、下回っている時期もあれば、上回っている時期もあるのが実態です。データ上では、女性も男性と同様に、働ける環境が整っているといえるでしょう。しかし、就職後は男性と女性とで大きな違いが出てきています。厚生労働省によると、総合職についた女性が採用後、10年で離職する割合が約6割にも達するというデータを発表しました。

一方、男性の場合には約3割となっており、およそ倍の数の女性が離職しているのです。女性の離職率が高いのは、結婚・出産・子育てといった人生の転機に働けなくなることが理由として挙げられます。高い就職率は女性の社会進出を示す一つのデータではありますが、真に男女平等の社会を目指すなら、仕事を始めた後のことにも注目をするべきでしょう。